トルコから略奪されたとみられるローマの青銅像、クリーブランド美術館から押収

この銅像はかつてクリーブランド美術館によって、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスを哲学者として描いた可能性が高いとされていた。現在、それは紀元前 150 年から紀元 200 年頃の、ドレープされた男性像として説明されています。ローマ、あるいはおそらくギリシャのヘレニズム時代。クリーブランド美術館

美術館は、争点となった作品を保持するために、どのような代償を払うことになるでしょうか? クリーブランド美術館は、貴重なローマ時代の遺物のひとつが押収されたことを受けて、この問題に直面している。

問題の作品は、トーガのような衣服を着た男性の等身大の首のない見事なブロンズ像です。この博物館のすべての「ベストヒット」ガイドで紹介されており、略奪されたというトルコ共和国の以前の主張にもかかわらず、この博物館は最近までローマ彫刻ギャラリーを主宰していました。ラベルはそれを「哲学者としての皇帝、おそらくマルクス・アウレリウス（在位西暦161～180年）」と名付け、マルクスの死の直後のものと日付を記した。西暦180年から200年。」博物館のこの像のオンラインリストにはこの情報が繰り返し掲載されており、この像は「トルコ、ブボン（？）（リュキア）」から来たものであると付け加えられていた。しかしここ数カ月、この作品の起源と来歴が厳しい調査にさらされている。

まず、米国とトルコ両国の法執行当局は、ブボンから略奪された美術品に対する関心を新たにした。トルコ南西部にあるこの古代遺跡では、1960 年代に地元の農民が多数の銅像を発見しました。厳格な文化遺産法にもかかわらず、彼らは密かに青銅器を古美術密売業者に販売した。 1967年にトルコ当局が現場に到着するまでに残っていたのは空の台座と1体の彫像だけで、現在は近くの博物館に収蔵されている。台座にはマルクス・アウレリウスを含む14人のローマ皇帝と皇后の名前が刻まれています。もし略奪ではなく科学的に発掘されていたら、この場所（おそらく皇室を讃える神社）は、20世紀で最も重要な考古学的発見の一つになっていただろう。

押収されたブロンズに関する最近まで（左）と現在（右）の情報がクリーブランド美術館のウェブサイトに掲載されている著者によるスクリーンショット

1960 年代半ばに、異常な数の高品質のローマ帝国の彫像や肖像画が国際美術市場に登場し始めました。トルコ南西部でこれらの非常に珍しい青銅が発見されたことについて、ディーラーたちはささやきました。 1970 年代から 90 年代にかけて、トルコとアメリカの学者が離散したブボン族の再建を試みました。最近、マンハッタン地方検察局の骨董品密売部門は、トルコ当局と協力して、以前の調査を基礎にして捜査を再開した。 2022年11月以来、メトロポリタン美術館やフォーダム・ギリシャ・エトルリア・ローマ美術館など、アメリカの公的および民間のコレクションから他の4つのブボンのブロンズ像が押収されている。これらはトルコに返還されています。

昨春、クリーブランドのマルクス・アウレリウス像が撤去された。美術館は1986年にこの作品を同じディーラー、チャールズ・リプソンから購入し、最近押収された4点のうち3点を売却した。それも常にブボンと結びついています。実際、1987 年の像のデビューの際、博物館は他のブボン像の写真と、別の博物館から借用した追加のブボンの肖像画を展示しました。ギャラリーのレーベルとプレスリリースでは、グループ全体と、ローマ皇帝家を讃えるトルコの地方の神社でのその起源と思われるものについて論じられていた。博物館の学芸員はブボンまで赴き、この背景を調査した学術論文を出版した。

クリーブランド美術館のウェブサイトにある押収されたブロンズの説明（最近まで（左）と現在（右））著者によるスクリーンショット

しかし、最新の開発はその背景を否定します。博物館は像を視界から撤去しただけでなく、マンハッタン地方検事はその押収令状を発行した。像のオンラインリストは書き換えられました。ブボン、トルコ、さらにはマルクス・アウレリウスへの言及も削除された。現在では単に「ドレープされた男性像」と呼ばれています。どこから来たのかについての情報はありません。その仮説の日付は、もはやマーカスの死後の期間ではありません。その代わり、博物館は手を上げて、「紀元前150年から西暦200年」までの350年間のどの時点でも制作された可能性があると主張した。それは「ローマ、あるいはギリシャのヘレニズム時代」かもしれません。博物館は「Imperial Portrait?」というタイトルの埋め込みビデオを削除していないが、マルクス・アウレリウスについて論じたこの論文では、このより具体的な情報は、「頭部、碑文、その他の属性がなければ、描かれている人物の身元は不明のままである」と述べている、この像について新たに書かれた説明と真っ向から矛盾している。実際、ブボンにあるマルクス・アウレリウスの碑文は 1993 年から知られていました。